夜間頻尿について その3です

夜間頻尿の治療法について、です。

夜間頻尿の原因は、膀胱蓄尿障害(膀胱が小さい)、睡眠障害(眠りが浅い)、そして夜間多尿の3つであり、それぞれに対しての治療法、ということになります。

まずは膀胱蓄尿障害についてです。これは前立腺肥大症や過活動膀胱といった、前立腺や膀胱に問題がある場合です。排尿を改善させる薬剤や膀胱の緊張を和らげて膀胱を大きくするような薬剤を使用します。我々泌尿器科医が得意とするところです。

次は睡眠障害です。これは難しいですね。単純に睡眠薬で良いのだろうか、と思います。まずは薬剤に頼らない方法、例えば昼寝を控える(夜間頻尿とは関係ないですが、30分以上の昼寝は認知症のリスクファクターと言われています)とか、夕方に運動して疲れる、でどうでしょうか。多くの睡眠薬は依存性が問題になります。睡眠に関しては、心療内科や精神科の先生が得意とするところです。

そして最も多い夜間多尿についてです。これは文字どおり寝ている時の尿量の問題であり、膀胱に原因はありません。どうするのか?まずは、夕方からの水分をやや控えましょう(朝~夕まではしっかり)。夕方から摂った水分は、夜間に尿となって出てきます。次に夕方からの30分以上の散歩や運動です。散歩や運動は、いつ行っても健康には良いです。ただし、夜間の尿量を減らすには、夕方から行う必要があります。個人的にも経験しています。私は診療後にスポーツクラブに行って汗を流すことが多いのですが、クラブに行った日はビールを飲んでも夜間に起きることは少ないですが、行かないと必ず起きます。あとは、30分程度の脚挙上、弾性ストッキング着用などです。

これでもダメなら漢方薬などを試すのですが、最近抗利尿ホルモン(尿の産生を抑える)剤であるデスモプレシンが使えるようになり、効果が期待されています。