山県郡医師会学術講演会 1

 昨年11月17日、山県郡医師会にて「泌尿器科、ただ今診療中」と題して講演を行ってきました。日常診療に関することですので、その内容について何回かに分けて解説してまいります。
 泌尿器科に関する症状で最も一般的と言えるのは「排尿障害」でしょう。尿が出にくい、回数が多い、残尿感がある、尿が漏れる、などです。排尿障害は前立腺肥大症によるものだと考えがちですが、必ずしもそうではありません。今回解説していきます過活動膀胱、慢性前立腺炎、間質性膀胱炎など多くの原因があります。
 尿が出にくい、回数が多い、残尿感がある、尿が漏れる、などの症状は、医学用語で「下部尿路症状」。英語で、Lower Urinary Tract Symptoms、略してLUTS(ラッツ)と言います。このLUTSや前立腺肥大症をひきおこす原因の一つにメタボリックシンドローム(過剰な内臓脂肪蓄積があり、かつ高血圧、高血糖、脂質異常のうちいずれか2つ以上あわせもつ状態)があります。蓄積された脂肪から炎症を引き起こす物質が放出されたり、動脈硬化によって血流が障害されたりすることが原因と考えられています。

 
 次回は前立腺肥大症について解説します。