夜間多尿について:ためしてガッテン
7/15 NHKの「ためしてガッテン」で夜間頻尿についての特集がありました。皆さん、見られましたか?夜間頻尿のなかでもほとんどを占める、夜間多尿について、非常にわかりやすい内容が放送されていました。
以前にもこのコーナーで書きましたが、夜間頻尿で来られる方は非常に多く、その多くは夜間多尿です。外来で、この夜間多尿を説明するのですが、短時間ではなかなか分かってもらえなくて困っていました。今回の放送を見れば、十分に納得できる内容であったと思います。
一言で言うと、高齢者の方においては、昼間に摂った水分の多くがふくらはぎの間質に溜まり、就寝してからその水分が尿になって出てくるので、夜間の尿量が多くなる、ということです。番組では、高齢者と若者が、まる1日、同じ食事、同じ事をして、1日の尿の出方を記録していました。その結果、若者では就寝前までに、摂取した水分の殆どが出てしまうのに対し、高齢者は就寝してから摂取した水分の多くが出ていました。これが「夜間多尿」です。繰り返しますが、ふくらはぎの間質に水分が貯留しているのです。量が多いから回数も多く、夜間頻尿になります。実は、夜間多尿を訴える方の、80%以上がこの夜間多尿であるという研究結果が出ています。
では対策は?ふくらはぎに水分が溜まりにくくすればいいのです。それは、弾性ストッキングの装着です。TVでは、白い箱に弾性ストッキングを入れて、解説医師が登場しました。ふくらはぎに圧をかけると、水分が溜まるスペースがなくなる、というわけで、起きている時間に装着します。また、30分程度、15~20cm、脚を挙上しておく、のも有効です。ふくらはぎに溜まった水分が血管内に戻って、尿として出てくるからです。あと個人的には、夕方~夜の30分以上の散歩が有効であると考えています。歩くことで、水分が体外に出るのと、ふくらはぎを刺激して溜まった水分を心臓に戻す、ひいては尿として出す、と考えています。
診断には排尿記録が有用です。これは1日、排尿時間と排尿量を記録するものです。当院でも積極的に行っております。
夜間多尿は、生活の質を落とし、転倒・骨折などの危険性もあります。皆さんも、この、「ふくらはぎに水分が溜まる」ということを理解して頂き、生活を工夫しましょう。
写真は、以前から、主に医師に対する講演で使用しているスライドです。今回の「ためしてガッテン」の内容とほぼ同じでした。薬物療法については番組では説明されていませんでした。クリニックで聞いていただければ、と思います。